IE9ピン留め

紹介文&更新情報&各リンク&SS直結リンク
・更新情報


12月29日
すごく今更ですが、C81新刊案内。

サークル名「Popsicle RX」 三日目土曜日 西地区“も”ブロック-23aです。

新刊は、小説のコピー本になりますがFate/EXTRAのものを出します。
タイトルは「月面水槽」
赤セイバーと女主でうふふあははなお話ですよええきっとたぶん。
よろしければ、お願いします。


……印刷所に出すようなものはできませんでした。
まあ、来年はまほよもcccも出るっぽいし!



9月04日
みなさんどうもこんにちは。お久しぶりです。
更新情報っつーか、生存報告? ちょっと精神的に危なくて何もできない日々が続いてました。
一応、夏コミでスペースは取っていたのですが、新刊を作る気力も告知をする気力もなく、ボスが既刊となぞAKB本持って現れただけでした。

今のところ冬コミにも参戦予定。
エクストラの供給が少ないということなのでエクストラ本を作るつもりです。
再構成とかはやりません。やり始めたらこの男、間違いなくサーヴァントを全部石ノ森キャラとすげかえる。
最初の冬コミみたいなお祭り騒ぎ系を予定。

とまあそんな鬱まっしぐらのため更新とか用意できてないです。
無理せず心がこちらに戻ってきた時に何かしらまた書けたらいいなぁという所。
まほよ? やだなぁ今年に出ると思ってるんですかハハハ



・蒼い眸の魔眼使い
月姫再構成。志貴が勘当ではなく捨てられ、拾ったのがあの人だったらという話し。
省略して「蒼色」

プロローグ

一章
第一話  第二話  第三話  第四話  第五話  第六話  第七話  第八話  第九話  第十話  第十一話  第十ニ話  第十三話  第十四話  第十五話

二章
第十六話  第十七話  第十八話  第十九話  第ニ十話  第ニ十一話  第ニ十二話  第二十三話  第二十四話  第二十五話  第二十六話  第二十七話

三章
第二十八話  第二十九話  第三十話  第三十一話  第三十ニ話(最新)

番外編

禁断編 前編  禁断編 後編


・Fate/Steel Masked Rider
Fate再構成かもしれない話。士郎が七日間だけあの魔法使いと関わっていたらという妄想。

第一話  第二話  第三話  第四話  第五話  第六話(最新)

・なんかよくわからない短編

・溶けるチョコレート、固まる甘さ
某二次作家とメッセで話していて「志貴と秋葉で短編書いてくれ!」と言われて思いっきり書きなぐったもの。
本編の全グッドエンディング後くらい。ダル甘注意。

・プリティチューン
誰だったかから「可愛いシエル希望」という指示を受け、わりと前から書いていたもの。
本編全グッドエンド後。やはり甘め。ちなみに公式設定と若干齟齬があるかと。


・Sugar On Me An’d You  (1)  (2)

某所に送りつけたものを改題、手直し、書き足ししたもの。じき三話目を公開予定。
志貴と新旧恋人丼という斬新にしてカオスな作品。二話目から18禁につき注意。
 

・姫月姫  ログ1  ログ2

web拍手内で書いている、長編連載する気のない長編。なのでシーンの断片だけです。
溢れたので時系列的に古いものからここへ移動していきます。


・誰かが君を
~真夏の夜の雪~   ~Long Distance Love~  雨音~I wish you were here~  ~Old-Fashioned Lover Boy~

以前連載しかかった、イリヤちんが八頭身の美人なのよさなお話。
短編にて復活。短編ならまた何か書くかもしれない。



・掲示板とweb拍手
web拍手の一言メッセージで返信不要の場合は「返信不要」と頭に入れといてください。

あとがき置き場な掲示板

web拍手はこんなカンジなのでご注意を
# by becomeash1984 | 2009-12-31 23:59 | 蒼い眸の魔眼使い


web拍手の返事とか、雑記とか
web拍手の返事等はここに上げていこうかなと。更新は随時。
あと質問の多い答えを一括。拍手で送る前に読むように。


・蒼色関連
らっきょメンバーはちょこちょこ関わってくる程度。
青子先生と橙子所長は戦闘に参加しません。
ストーリーはとっくに決まってるので、先の展開に関する要望は一切受け付けておりません。

・Fate/SMR
士郎はびみょーにゼルレッチの弟子です。
Fate原作特有過ぎるゲーム的な部分は、ほとんど考慮してません。
原作はやりました。ゼロも読みました。





・雑記


ほんとに……モチベーションも気分も持ち上がらない。

web拍手一言メッセージのお返事
# by becomeash1984 | 2008-12-30 19:38


Fate/Steel Masked Rider 1



 幾度の戦場と数多の世界を巡り、戻ってきた。
 かつて自分が居た世界。暮らしていた街。平和であったはずの現実。
 僅か七日という歳月を、途方もない年月のように暮らし。
 少年は老人と別れ、男と出会った。



 早起きは三文の徳と言い出したのは一体何処のどのバカヤロウなのか。そもそも漢字がなぜ「徳」であるのに意味合い的には「得」なのか。まったくふざけている。早起きをしたところで何かしなければ得などありはしないし、第一人間というのは日の出前に起きるように作られていないから必要に狩られなければ早起きなどは絶対しない。要するに趣味の領域。いいことあるかな、ではない。必要であるから早起きをするのだ。

 携帯電話から流れるメロディ。デジタル式の目覚まし時計のようなピロピロした音ではなく、劣化した音質ではあるもののしっかりと曲を奏でる雑音。目が覚めるからという理由だけで採用したライクアセックスマシーン。ファンキーなノリに意識は睡眠から目覚めへ移り、携帯を操作して機能オフ。ゲロッパな目覚めはわりと気に入っていたりする。

 時刻は朝の五時半。一学生としては早すぎる起床時間だが、俺こと衛宮士郎にとっては標準の時間だ。
 なにせ、ここからやらなくてはならないことが山ほどある。

 正式な住人が俺だけというこのだだっぴろい屋敷において、当然ながら家事を要求され実行しなくてはならない矢先に立つのは俺。掃除、洗濯、炊事などなど。休日にできること以外は朝のうちに済ませてしまうのが我が家の日課である。

 ほれみろ。この早起きのどこに得があるというのか。
 などと、一人で愚痴ってみてちょっと寂しさを味わいながら、階下へと降りて行きそこで違和感。あれ、なんか夜明け前なのに明るいぞ。ウチの中。



 原因はここへと通う住人Sによる。
 光の漏れる居間へ近づくに連れて、確かな答えを得る。にしてもあの娘。いくらなんでもそれは早すぎるだろう。何時に起きたんだ?

「おっす、おはよーさん」

 言いながら襖を往復させて進入。慌てた様子で振り返る合法侵入者S。いつの間に常駐させたのかマイエプロンに身を包んで、我が後輩は慌てた調子のまま挨拶に応じる。

「お、おはようございますっ……って、先輩いつもこの時間なんですか!?」
「それはこっちのセリフだっつの。桜こそ今日はえらく早いじゃないか」
「はいっ、えと…早起きなぞして先輩を驚かせてみようかなと……はわっ! ななな、なんてこと言わすんですか先輩! わたしはちょっと先輩を喜ばせて寝顔なぞを見てみようかなと……はうっ!」

 一呼吸で二回も本音をポロリとさせる間桐桜。さらに慌てて弁明しようとするのだがそれを手で制して口を止める。

「分かった。気持ちとしては嬉し恥ずかしいが要するに善意なんだな?」
「は、はいっ!」
「よろしい。ではやろうとした作業を続行しなさい」

 色々とよろしくないが、それは朝食の席で。以前面白すぎてあのまま放置して弁明を続けさせたら赤面して蹲って動かなくなったという前科がある困ったドジ娘は、誤魔化しのつもりなのかぎこちない鼻歌を交えて朝食作りに戻っていく。

 ……ちょっとしたハプニングはいつものこと。今日は少しばかりタイミングが早かっただけの話。ヤツが来襲すればこの比ではないビックリドッキリなイベントと直面することになる。この程度は準備運動だ。

 運命の日は、こうして甘酸っぱいラズベリー味で始まったのだった。





続きだよ!
# by becomeash1984 | 2008-05-13 21:33 | Fate/SMR


Fate/Steel Masked Rider 2



 少年は正義の味方に憧れた。
 彼らは正義を探求し、答えを見出した賢者なのだと。
 しかしなぜ彼らは知恵を振りかざし、誰かを助けるのか。
 少年にはそれが、分からなかった。



 場所は遠坂邸にある地下室。時刻は凛の魔力が最高潮に達する午前二時。

 丑三つ時なのは縁起がいいのか悪いのか。恐らく俺がいなかったら悪い方向に向かっていたのだろう。なにをトンチキかましたかは知らないが屋敷の時計が全部狂ってるとかどうやったら起こりうるんだ? そしてちゃんと携帯を使え携帯電話を。アレならほぼ完璧に今の時刻を指し示してくれるから、大事な時刻はそれを確認すべし。

 そんな説教を終え、俺はあと傍観するだけ。
 手伝える場所はもうない。あとは凛自身に全てがかかる。

 それも魔方陣が輝き、最後の韻を踏むことで半ばまで達成される。魔方陣の中央には赤い外套を着た、白髪の男が現れる。騎士のように膝を折ったまま、ゆっくりと目を開き――凛を視界に入れて、口を開く。

「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。貴女が、私のマスターか?」

 試すような問いかけに凛は堂々と応じる。右手の甲に刻まれた令呪を見せ、貴族のような傲慢さで言う。

「遠坂凛、貴方を召喚した者の名よ」

 聞いてセイバーのサーヴァントはなぜか安堵したような表情を浮かべ、再び目を閉じて頭を垂れる。

「これより我が剣は貴方と朋にあり、貴女の運命は私と共にある。ここに、契約は完了した――貴女は紛うことなく私のマスターであり、この戦の勝者となる者だ」

 そんなことを言うのはせっかちのような気もするが、それはこのサーヴァントが凛のことを全面的に認めた証でもある。

「大言に見合う結果を期待しているわ。セイバー」

 一方。先ほどまでの厳格さはどこへ消えたのか、急に砕けた雰囲気で言った凛はセイバーへと近づいていく。ふと視線を上げたセイバーに立ち上がるよう要求し……立ち上がりきる前に思いっきり抱きついて二人で床に激突する。

「いっっっっっっっっっっっっっやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 貴方セイバーよね。セイバーのサーヴァントよね!」

 聖杯戦争には七騎のサーヴァントが召喚され、それぞれ七種類の固有のクラスをもってこの世に現界する。その中でも過去の聖杯戦争で優秀な成績を上げ、勝ち残る確率が多かったというセイバーのサーヴァント。最も優秀なそのクラスを引き当てれば聖杯戦争を有利に進められると凛は再三に渡って豪語していた。要するに博打で大当たりを引いたのだ。ちょいと過剰な喜び方かもしれないが、今は黙っておくことにする。

 抱きつかれた当のセイバーは突然のことに動揺しまくっている。すげぇや遠坂さん。バケモノに近い英雄を会って数分で困らせてやがるぜ。

「ちょ……マスターくっつくな、離れろ! 年頃の娘がむやみやたらに抱きつくものじゃない」

 分かってないな。年頃の娘じゃなきゃむやみやたらに抱きつけないんだぞ。

「それにだ、私はセイバーのサーヴァントでは……む?」

 抱きつかれてぐりぐりとほお擦りをされるままで急に難しい表情を作るセイバー。それに気がついた凛がようやく離れて、二人で起き上がって不思議そうに見詰め合う。

「自分で言ったじゃない。サーヴァント・セイバーって」
「……ああ、確かに私はセイバーのクラスで召喚されたようだ。だが本来はセイバーよりはアーチャーのクラスに該当する英霊だ」
「――ちょっと、それどういうこと」
「本来なら私はアーチャーで召喚されるべきなのだ。セイバーのクラスに該当するための条件を私は満たしていないのだからな」
「なによそれ……いえ、こっちが分かれば答えは出るわ。貴方、真名は?」

 サーヴァントとは過去に英雄と呼ばれた存在を召喚している。英雄であるから当然クラスとは別に本当の名前がある。その名前さえ分かれば過去のその英雄の活躍を引くことができるのだが、それは同時に自らの弱点も分かることになってしまう。英雄は例に漏れず弱点によって敗北し、この世を去っているのだから。

 その大事な真名を尋ねられてセイバーは、ふむと考え込み。一度地下室の天井を仰いでから……真面目な顔で凛に向き直り、「思い出せない」なんて言うのだった。

「該当しないクラスで召喚された反動だろう。どうも記憶が混濁している」

 嘘じゃないらしい。だってものすごくすまなさそうな顔してるからなぁセイバー。
 一方、がっくりと肩を落とした凛は、けれどすぐさま立ち直る。

「仕方ないわ。要するにわたしたちが無理をさせて貴方をセイバーで召喚させたってことでしょ。それに一時的なものなら思い出せばいいわ」

 ちと曲がってしまったらしいがそれでも念願のセイバーを手に入れてご機嫌な凛は、いつも以上に寛大だ。今なら月謝をもう少し安くしてくれって言っても聞き入れてくれるかもしれない。死にたくないからしないけど!

「……たち?」

 複数形であることに疑問を持ったセイバーが周囲を見渡し、ようやく俺へ視線を向ける。

「彼はわたしの協力者。この聖杯戦争を勝ち抜くために味方してくれる同胞よ」

 やったぁ。やっと説明してくれた。なんか見つめられた途端ものすごい殺気がきたもんだから間違えて殺されるかと思ったよ。

 説明を受けてもなお殺気を収めないセイバーに、仕方なくこちらから歩み寄る。

「衛宮士郎だ。そこの女王様に召喚されたのが運命だと思ってくれると助かる」
「……了解した。だがマスター、こんな半人前を協力者と仰ぐのは失策では」

 なんて敵対的なんだろう。そりゃ魔術師ならパっと見で分かるほど俺は半人前ですけど……

「弟子をどう使おうが師匠の勝手じゃない。それに使えないって判断してたらとっくに避難させてるわよ」
「いや、前半は激しく間違ってると思うが。セイバー、生前は魔術師だったのか?」

 それを聞いてあっと驚く赤い二人。皮肉なことだが、これで一つセイバーのことがわかったわけだ。

「どうもそのようだな、いや君が半人前で助かった」

 ……なんだろう。すごく、敵意が向けられてる気がする。記憶が思い出せない時の困った顔は絶対いい奴の顔なのに、俺に向かうときだけすごく嫌な奴になるんだが。

 と、ふらりと凛がバランスを崩し、セイバーがそれを抱きとめる。不思議そうに力の入らない足で立とうとする凛。それをセイバーから受け取る。

「該当しないクラスで召喚した反動が、召喚した方にも現れてるらしいな」
「あ……なるほど、どうりで魔力がすっからかんなわけね」

 自分でも立てないくらい持っていかれたらしい。無茶の代償と思えばそんなもんか。

「いや。それを含めてもマスターは大したものだ。普通なら召喚した際に気絶してもおかしくはないのだからな」

 無茶の代償を支払っていても気絶しないだけ、凛は桁外れってことか。確かに魔力の量は俺が米粒に感じるくらい多いもんなぁ。

 ぐでんぐでんの酔っ払いよろしくな力の抜け具合の凛に肩を貸し、えっちらおっちらと歩き出す。とりあえず今日は寝かせるか。この分だと明日もまともにゃ動けないだろうから欠席届でも出しといてやるか。

 セイバーは負担を減らすためか元の零体へと戻る。その間際、寝入る寸前の凛が寝言のように「凛でいいわよ」と呟いた。

 順調かと思ったが先はわりと多難らしい。





つづかないかもしれない
# by becomeash1984 | 2008-05-12 21:04 | Fate/SMR


Fate/Steel Masked Rider 3




 死の淵で暗い夢を見る。
 剣の丘で、剣の墓場で、世界の地獄で――悲痛なまでに剣を振るう男の結末。
 見果てた先、静かな納得と共に目が覚めていく。
 十字の数だけ正義の心があったから、男は悲しいのだろう。



 目が覚めると、俺は何故か遠坂さん家の天井を仰いでいた。

 起き上がり周囲を確認。時計を見れば時刻は飯を作り終わってから十分ほど。

 同じソファに座って安堵のため息をつく赤目の少女。角度的に膝枕をしてくれていたらしい。そいでちょっと離れた所に、正座させられているセイバーと思いっきり叱っている凛の姿。うん。なにこの状況よく分からないんですけど。

「良かった……気がつきましたかマスター」

 ああ、という返事を聞いて同時に目をこちらに向ける赤い主従。

「……なんで生きてんのよ、アンタ」
「……なんで死んだことになってるんだ? つーか状況を教えてくれ」

 何故か驚きの目をしている凛は、一度顔を手で洗ってからもう一つのソファに座る。

「――わたしも良くは分からない。全部知ってるのはコイツだけど、今はちょっとお仕置き中だからわたしが知ってる限りを話すわ。多分二人分で繋がると思うし」

 英霊におしおきとか、ドクロベエさまもびっくりの度胸だなこいつ。そういえばセイバーはなんかやたら苦しそうな顔で正座しているし。

 赤目の少女に一度目配せをする凛。どうぞという意味の目線が帰ってきてから俺へと向き直る。

「セイバーに言伝を頼んで、家に帰ってみたらそこの子と、セイバーが睨みあってた。敵襲かと思ったら士郎が死んでて、尋ねてみればその子は士郎のサーヴァントでセイバーが士郎を殺したって言うじゃない。仕方ないから剣を下げさせて、治療しようとしたんだけどどうみても助かる怪我じゃなくって。でもその子が『さっきよりは治っている』なんて言い出したのよ。それでよくよく見たら傷が治っていってるからもしやと思ったら、案の定こうして生き返ったわけ。んでセイバーに令呪使って理由吐かせようとしたんだけど、本気でコイツ記憶が戻ってないらしくて『見たら無性に殺したくなった』なんて言うのよ。仕方ないからああやって思い出すまで頑張らせてるわけ」

 以上説明終わり。と実にあっさりと言い終わるのだが見逃せない点が二つ。

「令呪使ったって……バカ。んなことのために使うなよ」

 見れば凛の手から一画失われている。うっわ本気で使いやがったのかコイツ。

「わたしの失態だもの。それに今後のことを思えば一つ縛っておくくらいで丁度良いわ。下手な場面で裏切られても困るし。こいつがじゃじゃ馬だってのは今日でよく分かった」

 実に遠坂らしい言い訳だった。言い訳以外の何でもなかった。

「ええと……ああ、たしかライダーだっけ。コイツこんなに冷静じゃなくて、カっとなって令呪使ってたろ」

 無言で真摯な目は肯定の意味でしかない。師匠の方は後付の理由を看破されて気まずそうな顔で他所を見ている。

「仕方ない。済んだことだ……ところでよ、俺もしかして致命傷だったのか?」
「はい。左右同時に肩口から切られ、心臓も肺も潰れていました」

 遠坂に変わって代弁するのは自称俺のサーヴァント。

「……俺、魔術で治療する間もなく気絶したんですけど」
「わたしもそこは詳しく知りたいけど、肝心のアンタがその調子じゃね」

 まずい。なんか遠坂の声に剣幕が含まれ始めている。

 魔術師という連中は、どうも分からないことがあると無性に腹が立つらしい。きっと凛だけだと思うのだが、とにかくコイツは分からないことに対しては厳しく、容赦ない。記憶がないんだけど俺を殺したがる意味不明なヤツがいて、魔術も使わず死んだはずの重症から蘇る意味不明な弟子がいるのだ。きっと沸点ギリギリ。返答を誤れば、死ぬ。

「ライダーがとんでもない再生能力持ちで、召喚したのがきっかけで士郎にもそういう力が働いたっていうんならなんとか説明はつくけど……そもそもなんで召喚したのよ」
「そこのところは俺もよく分からない」
「そいつは私に殺される寸前、召喚の最後の韻を踏んだのだ。恐らくだが昨日の凛の召喚に立ち会ったことで、準備が済んでいたのだろう」

 え、それマジかよ……いや、俺そういえば最後に何か喋ったけど、もしかしたら。

 思いながらふと左手の甲にある文様に気がつく。サーヴァントを従え、聖杯戦争へ参加する資格を持った証でもある令呪だ。体内を探ればライダーとの繋がりも感知できる。どうやら召喚したのは本当のようだ……うわやべぇ、師匠の後ろで怒気が実体を持ち始めてる!

「勝手に話さないでくれる、セイバー」
「失敬。だがそいつが不完全ながら召喚を行ったのは事実だ」

 ヤな感じに笑いつつ、凛の怒気に正座したまま距離をおくセイバー。
 凛がそっちを睨んだまま戻ってこないので、横に座っているライダーに目を投げる。

「不完全……ね。どっか異常に感じるところは?」
「ええ、全てが異常です」

 泣き出したくなった。不可抗力で召喚した上に失敗ときた。

「私は本来、セイバーとしての適正が強い英霊です。これは先にクラスが埋まってしまったため、やむなく空いていて適正の近い座に入れられたのだと思います」

 ちなみにそこのセイバーにも当てはまると思います、と繋げるライダー。っていうことは既に他の英霊でアーチャーが召喚されているのだろうか。

「そしてライダーのクラスで召喚されたことを差し引いても……その、このステータスダウンは理不尽と言わざるを得ない」

 すごく苦そうな顔で言う。ステータスというと、サーヴァントの能力を簡単に記号化したものだが、たしかマスターならそれを見る特権があるんだっけ。とライダーの能力値を覗いてみる……ふむふむ、こいつぁどう見ても。

「機動力はそこそこだけど、基本は宝具と運まかせの一発屋ってところだな」

 俺の評価に愕然とうな垂れるライダー。宝具を複数持っているライダーのクラスの特徴はうまく掴んでいると思うが、やはり本来のセイバーと比較すると見劣りしてしまうようだ。それでも宝具だけはA++を維持しているのだから、なんとかなるだろう。

「それにです、私は本来このような容姿ではない。鎧は白銀で、目は翠緑のハズです」
「ふうん。姿まで変わっちまったってことか」

 思い描きながらまじまじと見つめてみる。なるほど、そちらの方がよりこいつらしい気がする。可憐っつーか清楚だな。うん。

 今は登場した時に着ていた漆黒の鎧はなく、その下の青い豪奢な服を露にしている。そして赤色の瞳でこちらのことを伺うので、それでと続きを促す。

「はい……これは推察にすぎないのですが、どうやら私にはペナルティが科せられているのかもしれません。姿の変貌はその影響が表に出た結果と考えればつじつまは合います」
「ペナルティって……まだ俺たちゃ何もしてないだろう」
「此度の聖杯戦争においては。私は前回、聖杯を破壊するという暴挙を行いました」

 冷や汗をかいているセイバーと、睨み続けていた凛が一瞬でこちらへと向く。俺も驚いてライダーを見つめてしまう。だって、それってことはつまりコイツ、前回の覇者?

「聖杯を破壊って……何考えてるのよあなたの元マスターは」
「……私にも最後まで理解することは叶いませんでした。キリツグは結局、ほとんど言葉を交わしてくれませんでしたから」

 ――――は? 今なんつったオイ。

「ライダー……もしかしてお前の元マスターは衛宮切嗣か?」
「はい、そうですが。ご存知なのですか?」
「ご存知どころじゃねぇよ。最後を看取ったのは俺だ――切嗣とは義理だが親子関係だ」

 今度はライダーが驚く番だった。
 十分驚きを表現してから大きく目を見開いて、俺のことを観察し始める。
 そして何か口を開こうとした直前、凛が先に質問を投げる。

「とにかく、あなたの元マスターは願いを叶えず、聖杯を破壊したことであなたがペナルティを受けて今回の聖杯戦争に召喚されてしまったってこと?」
「おそらくは」
「なるほど…それで周期が十年に縮まったわけね」

 通常、聖杯戦争の周期は六十年とされている。

 だから前回の第四次聖杯戦争が終わってから、本当は俺たちがよぼよぼのじいさんになるまで聖杯戦争はめぐってこないのだけれど、ライダーが前回に願いをかなえることなく聖杯を破壊してしまったため、余力が十分に余っていたようだ。それが周期短縮に繋がったと。ううむ、ありがたいやら迷惑やら。

「……まあ、召喚しちゃったものはしょうがないわ。士郎、あとで教会行くわよ」
「げっ――言峰んトコかよ」
「監督なんだから挨拶ぐらいの義理立てよ。アンタは元々頭数に入ってなかったんだし」
「いや、俺きっとライダーとつもる話があるから」
「後にしなさい。それに一人で行くより二人で行った方がお互いのためじゃない」

 一理ある。一人ずつ行くよりは、二人で一緒に行くほうが余計な毒を食わなくて済む。
 ……ったく。ただでさえ面倒なのに、セイバーのせいで余計面倒なことになっちまったじゃないか。こんな戦い、やりたくもないってのに。

「じゃあこっちは誤魔化しが必要だから九時以降に迎えに来る」

 またなと言って席を立ち、外へ出て行こうとする。
 その後を音もなくついてくるライダー。そこで違和感に気がつき、振り返る。

「ライダー、霊体化してほしいんだけど」
「申し訳ありません。私は諸事情によって霊体化することができないのです」
「……じゃあ九時半に、現地でってことで」

 返事は凛に向かって行う。ため息は否定じゃないと思うので、玄関にある凛の分のヘルメットを借りてライダーに投げた。


つづいた?
# by becomeash1984 | 2008-05-11 22:35 | Fate/SMR

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ようこそ、辺境の二次創作活動現場へ!
by becomeash1984
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お知らせ

・ここはB-Ash.というヤロウが、二次創作を書きたくなって作った場所です。
・一次創作は掲載未定。今のところ二次創作以外は何もないです。
・ここの文章は勝手にコピーしてくれたら時々嬉しい? かも。
・でも画像のコピーはヤメてね
・リンクフリー
・becomeashあっとまーくhotmail.com
メッセとメールアド。何か言いたかったりした場合はお気軽に。


自己紹介

HN:
 B-Ash.(灰)
性格:
 ウソツキ、天邪鬼
音楽:
 hide
 Dragon Ash
 Swinging Popsicle
あと、全般的にロック趣味
小説:
 舞城王太郎信者
型月で好きなキャラ:
 瀬尾の子
 七夜さんちのドラ息子

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